2022年5月25日水曜日

【千年団】熊、愚直さのおかしみ

5/24 15:00-17:00 現代劇場306 担当:渡辺

 チェーホフ『熊』、3回目です。

未亡人の女性と、借金とりの熊みたいな男のお話ですが、もともと女性のほうはだいぶ若い設定のようです。

でも、「しっかり大人がやった方が面白い戯曲」というチーフの言葉のもと、今回も稽古がスタートしました。

演技の肝は、「登場人物の誰もが真剣だ」という点です。

誰もが真剣に自らの道を突き進むがゆえに衝突もする。当人たちは大真面目ですが、それを周りから見ると喜劇になる。

そういえば私の好きな哲学者、ベルクソンの『笑い』もそんな話をしていました。

硬直したものがなんらかにつまずいて方向が変わるときに、それを見る人たちの側におかしみが生じるのだと。


リアルに演じる、とか、日常の延長で演じる、とか考えるよりも、

「真面目に言う」ことがコツなのかもしれない、そんな気がしました。


熊、あと2回だそうです。もう少し遊び方を模索したいです。






2022年5月18日水曜日

【千年団】熊、日常の中に

5/17 15:00-17:00 高槻現代劇場306

前回に引き続き、今回も『熊』です。
ロシアの大作家が書いたものを、ゆったりまったり視野を広く持ちながら、しかし確かにその国から生まれたものだという意識も持ちつつ、同時に作品には真剣に取り組むこと。
四方八方に飛び交う感情を、同居させることができるのが演劇の良いところです。
どういう背景で描かれたものなのか、現地の人たちはそれをどう読んだのか、時代と場所を隔てた今の私たちがこれをどう読むか。演技の実験をしていく中で、「人間」に共通する部分や、人びとの間の差異なんかが見えてくる…瞬間がある気がします。

いわゆる「詩的」な表現とか、文語的な語尾、普段あまり耳にすることのない単語、そして単純に人名の慣れなさなど、様々な要因のために日常から遠いセリフを、それでもなお日常に近づけて発話するか。極めて、極めて厄介な試行錯誤が必要です。
それでも何か良いと思える演技が、確かに時折ある。演劇は、演技は、まだまだ面白い。





2022年5月11日水曜日

【千年団】熊、歌うように

5/10 15:00-17:00 高槻現代劇場306 担当:渡辺

GWでお休みを一週はさんで(5月3、4日には「高槻ジャズストリート」という街ぐるみの大きなイベントがあり、受講生の何名かはそこで遊んだようです)、
今日からチェーホフ『熊』で遊ぶことになりました。

旦那を亡くしてしばらく経つも、ずっと喪に服している妻と、
その旦那に貸していた大金を返してもらいにきた粗野な取立て人、の短編。
今日返せ、明後日出直せ、と強く激しく口論する二人ですが、なんやかんやあって恋に落ちてしまうという急展開を見せる喜劇です。

人数足りなくて私も参加しましたが、どうにも節回しが古めかしいので、いわゆる「新劇」スタイルでやりたくなってしまう。
しかし千年団の求める演技体は、われわれが日常的に発している声と、舞台上での台詞の発話とをすり合わせていく(あるいは「我々の日常性」という土台の上に台詞を構築していく?)ようなもので、そこからは大分離れてしまいました。
ただ、ハイパーリアルにやれというわけでもなく、「フレーズ単位で、歌うような」イメージも同時にあるようで・・・
やってみて分かりましたが、相当高度なことを要求されている感じがあります。

それだけにやりがいがありそう。もうちょっと参加したい。