2022年9月28日水曜日

【そよ風ペダル】ディレクション、方向決定

9/27 14:00-16:00 富田ふれあい文化センター 担当:渡辺

だいぶ湿度が高かった!
まだ残暑、なんでしょうか、マスクしてると蒸れますね。

演劇における発話って本当に変なもので、必ずしも喋る相手の方を見ていなくても良い。イメージしやすいのは、「お客さんの方を向いて喋る」という、例のあれです。
ドラマで、探偵が下を向いてうろうろしながら推理をつらつら述べる、みたいなシーンがあったりしますが、ああいうのともまた少し違う。
探偵が「人の目を見ないで喋る」のは、「そういう仕方でコミュニケーションをとる変な人」などといったキャラクターに関わることですが
演劇で俳優が客席を向いて喋るのは、表現の構造やルールに関わることです。
話し手が明後日の方向を向いて喋っているのに、他の登場人物たちはそれにいっさい疑問を抱かない。

本当はとても不思議なことです。
だから、それを「普通に」演技しようとすると、できない。どうしたって会話の相手の方を向いてしまいます。
その「会話の演技」は、極めて特殊な発話をしているのだという意識が必要になります。
演出のことをディレクション:direction=方向決定などと呼んだりしますが、俳優も、自分の意識を芝居がより面白くなる方にdirectionしていかなければなりません。

いま出来上がっているところまで、通してやってみました。
芝居の方向が、だいぶ見えてきました。それにともない、演技もどういう方向で行けば良いのか、おおよその目安がついてきました。微調整はあるにせよ、目指すべき形は見えてきた…気がします。

ただ、旅してまわっている客船が、航路を見失って港につけなくなる…というお話なので、芝居もどんどん方向転換していくかもしれませんが…!




 

2022年9月21日水曜日

【そよ風ペダル】ずらして、繰り返す

 9/20 14:00-16:00 富田ふれあい文化センター多目的ホール 担当:渡辺

台風が通り過ぎました。高槻付近は幸い大きな災害には見舞われませんでした。
台風一過の秋晴れ、肌寒いくらいです。長袖が必要になりました。

配役をローテーションして、同じシーンを何度も何度も(10回くらい?)練習しました。
配役を変えて試してみるという稽古はよくあることですが、ここまで繰り返すのはなかなか珍しい。
前回のブログでも書いた通り、今取り組んでいる作品はなかなか「演じ分け」の難しい作品なのですが、しつこく繰り返して稽古しているとどんどん上手くなっていくのが感じられます。
同じ俳優が同じ役を繰り返し練習している訳じゃないのに、上手くなる。他の人がやっているのを見て、この方法は良いなとか、ここはもう少し面白くできるなといったことを、知ってか知らずかどんどん学んでいくのだろうと思います。

あるいは単純に、繰り返し同じシーンを見聞きすることで、シーンの勘所?みたいなものが掴めてくるのかもしれません。
とはいえそれぞれに個性もあって、脚本をぱっと見た限りでは思いつかなかった演技のアイデアがいくつも見られました。




公演に向けてのミーティング

920日 千年団 担当土井

今日の予定は公演について皆でミーティング、心配されていた台風が去り、集まることができて幸いです。


ストレッチ、発声・滑舌練習の後は車座になって自分が感じた事、または過ごした事を皆の前で話します。改めて人前で何かを話す事になると何を話そうか、どう話そうか緊張します。稽古の前にはある程度何を話そうか決めているのかしら?そうする事で「あ、これ話せるかも」と日々過ぎる事を意識することになりますね。また、「書き出す」ということについての話もありました。本などで見つけたいい言葉を書き留めておいたらいいな、と思うことはあります。なかなかできないのですが。


さてミーティング。

公演は来年6月、チェーホフの短編を何本かやる、又はコロナによる人数制限でそんなに多くの人には見てもらえなかった去年度、一昨年度の作品をタイトにしてやる、という案がありましたが、チェーホフの短編をやる事に決まりました。

それぞれ20分以上ある作品を5つ。どれも今まで稽古してきた作品です。戯曲そのままではなくチーフが上演台本を書いて下さいます。


ホワイトボードに作品のタイトルと役名を書き、2グループに分かれてキャスティングを考えます。9人出席、4名お休みでしたがお休みの方の名前もあちこちから出ています。

そして発表。

ボードにノミネートされた名前を記入します。2グループの意見が合うものとそうでないものがあります。男性の役は皆の意見が合致しているようです。今までの稽古の中で既にキャラクターが出来ているのでしょうか。女性の役はいろいろな意見が出ていました。ほとんどが自分がやりたいと手を上げたものではありません。


ボードの情報をグループLINEで周知し、個人のLINEでチーフに自分の希望の役、避けたい役を1から順番に3つ書いて送ります。来週には決定しますとの事です。


今回は何かスポーツをしながらチェーホフを演じることになります。

さてどんなスポーツが登場するでしょうか?


 さて、作品の一つに長い台詞をひとりきりで語る作品があります。役は男性なのですが、女性が演じるのもあり、男性3人のトリプルキャストという場合もあり、と。まだ時間はいっぱいあります。誰がやってもいいように、全員が台詞を覚えるということには?


早々と追加稽古のスケジュールの話にもなりチーフから「稽古期間が長すぎて飽きるということはないか?」と質問がありました。どうでしょう?





2022年9月14日水曜日

【そよ風ペダル】演技が分かること/演じ分け

 9/13 14:00-16:00 富田ふれあい文化センター大ホール 担当:渡辺

二ヶ月前の稽古場ブログでも書きましたが、今回の芝居は劇中劇があったり、さまざまな「メタ演技」が必要だったりします。これを演じ分けないと、観客になかなか伝わらない。分からない。

例えば。人の言葉を引用する時と、それについてコメントするときでは、語り口を変える必要があります。
日常で
「Aさんが『どうせ騙されてるって気づかないんだから』って言ってた。ひどくない?」
などといった発話があります。
Aさんが酷い人だと感じているなら、Aさんが言ったとされる言葉を再現するときには、ちょっと嫌味な感じで発話したりすると思います。

上の台詞は単純な「引用」ですが、話が混み入ってくると、聞いてる側は「それは今誰の言葉?あなた?Aさん?」などと分かりづらくなったりします。
日常会話に祭しては分からなくなったら聞き返せば良いので、あまり問題にはなりませんが、演劇の場合ははっきり区別して演じ分けなければなりません。

演劇ではまた、誰に向けて喋っているのか、ということも問題になります。
これは日常会話ではほとんどあり得ませんが、独白や傍白(観客にだけ情報を提示する)と会話(舞台上の相手とコミュニケーションをする)とが入り乱れた発話をしなければならないことがある。
この切り替えも明瞭にやらねばなりません。

演技のスタイルを瞬時に変えなければならないので、大変高度なことです。
ただ、今回の芝居はこういう演じ分けをちゃんとやらないと伝わらない。
話の構造自体は決して難しくないのですが、演技の技量は求められます。

俳優は大変そうですが、多少難しい方がやりがいがあって良いはず!




2022年9月7日水曜日

【千年団】演技と自由

9/6 15:00-17:00 富田ふれあい文化センター 多目的ホール 担当:渡辺


自分の話で大変恐縮ですが『自由が上演される』という本を講談社から出版しました。

稽古場で宣伝させてもらったら「自由」という言葉に反応して、みんながいろんな話をしてくれました。

旅行先で自由を感じた人、病人の介護等で不自由を感じた人、文学作品から宗教と自由の問題に触れた人など様々ですが

いずれにせよ「自由」についてはみんな色々思うところがありそうで、話題が広がります。


俳優というのは非常に厄介な存在で、多くの場合、何を言うかは決められている。その意味では不自由です。

ただ、演劇をやっている人がそういう意味で「不自由だ」と感じることは少ないように思います(演出家が横暴だったりするとその限りではありませんが)。


そういえば山崎正和『演技する精神』で、人間は社会生活を営む上で絶対的に不自由なのであって、演技することではじめて自由になれるのだ、などと言っていた気がします。


前回に引き続きチェーホフ『プロポーズ』をやりました。変なプライドや、個人的なこだわり、そういうものにとらわれて、外から見ると一見不自由な人たちのお話です。ただ、このような登場人物たちを演じることで快楽を覚える。これは一体どういうことなのか(とはいえ、演技が上手くいかないな、と感じられるとやはり「不自由」な気がしてしまう)。


いずれにしても、こういうことで頭を悩ませること自体が楽しく自由だなと思えます。演劇って楽しく自由だなと思えます。