2011年11月30日水曜日

作品を発表する。

高槻シニアプレワークショップ最終日。
いつも通り体操と発声をして
作品完成に向けて最後の詰めです。

舞台セットをまず作ります。
家族の居間とバス停とバスの車内と病院と東大寺。
椅子が斜めに6列並べ、上手にテーブルと椅子。
バス車内のシーンや前後の構成を見据えて
役者さんの座り位置を決めます。
そして、車内のシーンを稽古しました。




 お客さんに向かって怒鳴るバス運転手のシーン。
小鳥のチョコレートを貰った話。
バナナ、バナナと騒ぐ子どもの話。

それぞれのシーンを何をきっかけにして始めるか。
段取りを決めてみんなで共有して実行する。
小さな事ですがそんな積み重ねがひとつの作品を支えていきます。


作品の最初に戻って朝の家族のシーン。
居間でテレビの音の大きさで話す祖父母と娘のシーンと
玄関で靴を履いた後に免許証が何のに気付いた旦那さんが
靴を脱ぐのがめんどうで奥さんに家の中を探してもらってたら
背広の内ポケットから免許証がみつかるというシーン。
この二つのシーンが同時並行で進みます。
旦那さんは仕事に向かい朝食。
テレビの内容を話す祖父。
みそ汁の野菜の皮が剥かれてないと娘。
野菜の皮に栄養があるのだと母。
何気ない会話ですが朝の家族の慌ただしさや
仲の良い微笑ましさが伝わってきます。


バス停のシーンの稽古。
知り合いかと思って声をかけたら人間違いだった。
周りにいた人から「あります、あります。」と声をかけられる。


バス停のシーンを飛ばして病院のシーン。
注射をされながら看護婦さんと会話。
横では残りの皆さんが椅子の下をくぐって行きます。
病院の会話の終わりのタイミングと皆がくぐり抜けるタイミングをはかって
東大寺の柱にある穴をくぐる話に移ります。
二つのシーンを行き来して絡まりながら構成されていきます。


最後に一日の終わりの夫婦の会話。
シュークリームをつまみ食いしている妻に
「体壊すで」と夫。
妻「私(お酒)飲めへんもん」
夫「あぁ、そうかぁ・・・」
夫の最後の一言の趣や、夫婦に流れる雰囲気が印象的です。


シーンの繋ぎ方や全体の流れ、シーンそれぞれの段取りを確認して
一度最初から最後まで作品を通してみます。


通し後に再度、筒井さんから段取りをスムーズにするための変更や
シーンのアクセントのための声の出し方の指示、
見え方を考慮しての立ち位置の変更などが伝えられいよいよ本番です。




全体として、ある主婦の一日として作品は構成されていますが
そこには物語がある訳ではありません。
しかし作品を見ていて何気ないやり取りから生まれた
声や動きによって心の隅っこの方をくすぐられた感じがしました。
印象に残って拾ってきた会話のその印象の核心みたいなものが
皆さんから伝わってきたからではないでしょうか。


八回と作品を作るには限られた時間でした。
しかし演劇の作品作りの原型みたいな事に関しては
みなさんに体験していただき達成されたと思います。
高槻シニア劇団の始まりの作品として
皆さんの胸の中に残るものになり大変良かったです。


ワークショップ終了後に近くの喫茶店で交流会をおこないました。
みなさんの演劇に対する熱意が垣間見えました。
次回からは山口茜さんのワークショップが始まります。
また新たな体験に向けてみなさんで動き始めましょう。