12月9日 恍惚一座
脚本解釈の稽古を進めています。
前回扱ったシーンで配役を決めまして、読み合わせののち同じ役同士で集まって話し合い。
その役柄のこのシーンでの表の目的と真の目的を決める。
その役柄がこのシーンに登場する役柄をどう思っているか、その関係性を決める。
例えばですが、私は今ブログを書きあげることが表の目的だとして、真の目的はなんでしょう。
暇つぶしのためなのか、仕事のためなのか、シニア劇団の魅力を伝えるためなのか、ただただ文章を書くことが好きだからなのか、稽古内容を解説し劇団員の振り返りに役立てるためなのか。
シーンの中で表の目的も真の目的もどこに視点を向けるかでいろいろ考えられます。
つまり前例で話すなら暇つぶしのためか、仕事のためかでブログの書き方や、パソコンに向かう姿勢・座り方、そして書かれた内容も変わってくるでしょう。
このことを脚本解釈として考えるなら、目的の変化に同じセリフが書かれていても喋り方、立ち方、動き方といった演技が変わるのです。
誰かとの会話のシーンでその人と話すことを目的としているか、話したくないことを隠すことを目的とするかでは演技が変わります。
役柄がどんな目的なのかは、実はわかりません。
答えのあるものではないので、無限に可能性があります。
よくよく考えれば、いつでも目的を明確にして人は生活していません。
ここで大事なのはとにかく一つに決めてみるということです。
曖昧でわからないことをわかりやすいことに決めてみる、それが創造するということではないでしょうか。
自分の演じる役柄が他の役柄をどう感じているかを考えることは、脚本の中に隠された行動を探し出す助けになります。
自分の演じる役柄がある役柄を嫌っていると思ったならその根拠となる台詞や行動があるはずです。
少なくとも根拠になっている台詞や行動に関しては明確な意味を持って演技をすることができます。
他の演技に関しても関係が決まってしませば、それを根拠に演技を作っていけるかもしれません。
好悪で関係性を考えましたが、関係を考える観点はいろいろあります。
力関係や新密度や社会的立場、その他にもいろいろありそうです。
様々な観点から役柄どおしの関係を決めていければ、その分演技のやり方も変化していきそうです。
まずは決めることが大切です。
曖昧なままでは演技ができませんから。
しかし決めたことに固執することはありません。
違うなと違和感を感じたならすぐに別の演技に切り替えればいいのです。
回り道をすればするほど、演技はより深く説得力を持ったものになるでしょう。
いつもならこの試行錯誤を役者ひとりで行うのですが、今日は話し合いの中で共有していきました。
思いもよらない目的や関係があらわれてきて興味深かったです。
これを踏まえて、来週は立ち稽古に入ります。