12月23日 恍惚一座
脚本分析の中でも役柄の目的に焦点をあてて稽古を進めています。
座学が多くなってきていますが、今日は久しぶりに立っての稽古。
秘密の目的というインプロのワークをしました。
ペアになって相手の関係性から発想した秘密の目的を決めます。
相手は自分の目的を知りません。
その目的を引き出すために、限定しすぎず、もちろん目的そのものを言うことなく外堀から情報を出していって互いに探り合っていきます。
互いに探り合うということはある種の協力関係が必要になります。
相手が言ってきたことや問いかけに対して、わからないであるとかそんなことないと否定的な態度で接していくと目的を引き出すことは困難になっていきます。
相手のことをしっかり観察し、肯定的に受け止め、その場で生まれてくるもので演じていきます。
そして目的を探るというゲーム的要素を進めつつ、即興ドラマとして役柄を演じ続け相手役とシーンを作り上げることも同時に行わなければなりません。
どうしても目的を当てるというところに注意が注がれすぎて、目の前やり取りがおろそかになる傾向がありました。
というわけで完全にゲームとしてのワークを。
イルカの調教というもので、調教師役がイルカにさせたいこと(自分の手を握る、机の上のものを取って運ぶなどの目的)を決めます。
つまりこちらもイルカ役は自分の目的がわからないわけです。
この目的にそっている行動に対しては「クンクン」と、目的から離れたら「かわいいねぇ」と言ってイルカに伝えます。
目的が何かを取るだったとして、目の前にあって視界に入っているはずなのにまったく気づけないということが起こります。
つまりは最初から勝手に選択肢から抜け落ちてしまっているのです。
これを指して固定観念と呼ぶのだなとみんなで納得しました。
舞台の演技においてもこういったことはよく起こります。
この役は悲しんでいるに違いない、このシーンは喧嘩しているのだ。
まずは決めることは大切です。
しかしそれにこだわり続けることは危険です。
答えが一つになってしまうことは面白味が限定されることでもあるからです。
このワークでは確かに目的はひとつです。
このためそれに至るまでに明確なトライ&エラーが繰り広げられます。
答えを導くとともに、このトライ&エラーの中から生まれたものたちもとても魅力的です。
脚本分析の中で役柄の目的をさぐる時、実は役者はその目的を分かっていません。
脚本の中に隠されている“秘密の目的”を外堀の情報を頼りに役柄と対話しながら探っていく。
固定観念にとらわれず、トライ&エラーを繰り返す。
少しずつ役柄との付き合い方が見えてきました。