2016年10月18日火曜日

役者と演出のバランス。

10月18日そよ風ペダ担当:梶川

今日は3時間稽古です。
アップもそこそこに最初からシーンを止めながら丁寧に演技を見ていきます。
ここ最近のブログで今回の作品で必要になるであろう演技の話をしてきました。
ここからは本番を見据えて、実際にどうシーンを成立させていくのかがまずは問題になってきます。
見ていて違和感がないか、それができた上で面白みを作ることができます。
主観的に自分の役柄のことがどうなっているのかは充分に考えてきました。
変化を作るということで、シーンの連なりとして上げたり下げたり抑揚がついていきたいわけで。
次の段階として求められるのは演出家のような客観的な視点です。
演劇は実演ですから 毎回少しずつ演技は変わってきます。
自分の演技をしながらも同時にその時の舞台全体を見わたして必要とされる演技を客観的に判断して演出家のつもりで舞台に演技を提示していく。
稽古でこうだったからではなく、今がこうだからこの演技になるという発想で。
つまり過去に頼るのではなく、今に挑戦して未来を生み出していく。
それでこそ役柄も舞台の今を生き始めます。
役者としての主観性と演出家の客観性をバランスよく舞台にのせる。
何事もバランスです。
本番が近づき追い込みがちになりますが、これもバランス感覚で。
入り込み過ぎて視野が狭くなると本末転倒です。
適度に息を抜き疲れを抜いていきなはら質を上げていきましょう。

2016年10月14日金曜日

迷いを振り切る

1013 WakuWaku 担当 土井

まずは13時から302号室にて第1幕、14時から306号室にて第2幕を抜き稽古。
第2幕、邦夫は声のトーンに違いをつけてください。普通に言うところは、そんなに大きな声は必要ないのです。
悦子はキャラを作りすぎています。躁状態になっていますね。どうしてそんなに敏江が驚くのか、 その辺りを詰めていきましょう。邦夫は、立っている時間をもっととるよう、敏江は台詞が走らないようにしましょう。

1524分よりスタッフさん全員を前にしての通しを始め、1647分終了。
80分強かかりました。

1幕
中島は大町ともっと笑います。大町は台詞のテンポをあげていきましょう。宮田は切り変わりの時の「負の感情」を取り去り
情感を抜きます。




2幕
やれなかった事がやれるようになっています。3人のコンビネーションがとてもうまくいっているなと思います。敏江は、迷いを振り切り勢いが出てきました。悦子は抜き稽古で言われた人格の転換ができました。邦夫も声のトーンを使い分けるようになってきました。スタッフさんのお1人が2幕のお芝居を見ながらよく笑って下さいました。私も見ていてとても面白く、これからどう発展していくのかますます楽しみです。







3幕
黒田は斎藤と笑うことで仲のよさを出します。斎藤は感情のバランスを取らず、優しくならなくていいのです。感情を爆発できるように積み上げていき、山場をつくります。退場している間に感情を整理し、山本・鈴村と再登場します。

写真がなくてすみません。スタッフさんの前での代役、緊張しました。皆さんはどうでしたか。


ラストの場面は今までの稽古回数の少なさが出ています。今後皆そろっての稽古が必要ですね。

来週は13時より2幕、14時より16時まで3幕、16時から1幕を抜稽古します。3幕ではラストシーンの稽古もありますので他の幕の方も必ず15時には集まりましょう

2016年10月11日火曜日

居場所をさがす、奪われる。

10月11日 恍惚一座 担当:梶川

全員で作品作りの2週目です。

山口さんからの設定の提案がありました。
安部公房の友達をモチーフにしてみませんかと。
以下、友達のあらすじをウィキペディアより。


夜の都会。奇妙な9人家族が「友達のブルース」を歌いながら、愛と友情を届けるために一人ぼっちの孤独な人間を探し、ある一人暮しの男のアパートを訪ねる。 彼らは、拒む男の意向を無視して部屋に闖入した。男は、不法侵入だと警察に電話をするが、管理人や警官らにも信じてもらえず、一家に居座られる。出て行ってくれと頼む男に対して、一家は、様々な屁理屈で応酬し、多数決の「民主的な」ルールを押し付ける。彼らは、男の婚約者や彼女の兄も、うまく言いくるめてしまい、男はそのまま一家と同居を続けなければならなくなる。
半月が経ったある晩、長女と男が一緒に寝て何か相談しているところを、次女が発見する。男が長女に誘われ逃亡しようとしていたことを、次女は他の家族を呼び報告し、男は弁解も虚しく、罰として玄関の靴箱の檻に入れられた。食事係の次女は、憔悴している男に牛乳をすすめ、男がそれを飲む干すのを見届けると、檻の錠前の鍵をあげると言った。男は喜んでそれを受け取ろうとするが、突然震えが激しくなり、恐怖にひきつれて動かなくなった。次女は男の死の間際に、「さからいさえしなければ、私たちなんか、ただの世間にすぎなかったのに……」とつぶやき、檻にそっと毛布をかけすすり泣く。
次男は次女に、「なんだ、おまえ、またやってしまったのか!」と言うが、「しょうがねえなあ……」と、平気で引越し準備にかかった。父が、「故人は常にわれらが良き友でありました」と哀悼を述べ、一家はハンカチを振ってアパートから出て行進し、笑い声を響かせながら去って行く。

まずは夫婦のところに四姉妹が押しかけてきて居座るというエチュードから。
最初の即興では夫婦が拒絶にまわることが多かったのですが、これを同情からついつい世話をしてしまい、結果いすわられるということにならないかと模索します。

でも現実のことを考えるとまず扉を開けない。
ならば宅配員ならばどうかと。
荷物を届けて、宅配員も込みで荷物ですと。
私もお荷物なので家においてくださいと、そうじをしたり料理をしたり風呂を沸かしたり。
なんとも不気味です。
自分の居場所が変質させられていくのが実際に自分に起こったと想像すると背筋が凍ります。
いろいろ積み重ねた結果、自分の居場所ではなく実家が奪われるという設定に。
母親のところにいくと、他人が母親の世話をしていてその他人と母親が親子だということになっている。
不動産屋も現れて、家が売りに出されているとのこと。

設定もさることながらエチュードの中で出てきたちょっとした言葉に魅力があります。
山口さんはそれをメモしています。
2週間お休みになります。
宿題としてその間に安部公房の友達を読んでみると。
自分の居場所は本当にここにあるのでしょうか。

音を楽しむ。

10月11日 そよ風ペダル 担当:梶川

スタッフさんがこれは来られての通し稽古です。

みなさん始めて脚本を離しての稽古です。
いろいろありましたが、無事最後まで通しました。
振り返りでまず、個人に対しての課題が筒井さんから語られます。
全体として、語尾を伸ばさないであるとか、抑揚をつけるであるとか音の出し方について指摘だったように思います。

先週のブログの基礎演技の中でのリズム感が問われたのではないでしょうか。
つまり変化を実際に表現する技術が問われ始めたということ。
ほとぼりは会話が主体の作品ですので、音で変化をつけることが大切になってきます。
音に対する感性を研ぎ澄ましておく必要があります。

音楽であれば楽譜にリズムやメロディー、強弱記号、速度記号が書かれており実際に演奏ができるようになっていますが、脚本ではされを自ら作っていかなくてはなりません。
具体的にいうと、台詞や言葉から離れて、声という音の問題とすれば要素は一息の長さ(息が続く中での区切り方)、音程の高低、音の大きさ、音の速さ、これらに加えて誰に向かって声をかけているかという音の方向性を作っていかなければなりません。
変化のきっかけをつかまえたとして、そこで音としての声に変化をつけるということです。

もしも感情というものが表現できるとするならば、その変化の一瞬に潜ませることでしかないと思っています。
常に感情を表現しなければといろいろやっていると、どんどん感情ではなくて思考になっていきます。
語尾が伸びるであるとか、台詞の頭に間が生まれるであるとか、音として違和感を感じる時は思考しながら演技していることが多い気がします。
感情や役柄の性格や状況を考えるよりも、まずは音として聞いていて楽しいか心地よいかで自分のシーンを考えるのも一つの方法です。

演技を演奏としてみて、ではどのように声を奏でるのか、楽しんで音に触れてみましょう。


2016年10月7日金曜日

感情を表に出さない演技

106 WakuWaku 担当 土井
今日は第1幕の抜き稽古から。
大町が出て行く前から。大町はいつもの声でいいのです。声を作らないように。そして宮田との目配せは強めに。宮田と中島の会話は、声かけに対し「・・・」のパターンが続きます。「間」の中に相手への気遣いが伺えます。大町が帰ってきた時、宮田は無表情で自分の思考の中に潜っています。感情を表に出しませんが心の中は葛藤しています。大町は宮田に重苦しくならない答え方をします。



2幕抜き稽古

白い正方形のテーブルが届き、組立てに皆で四苦八苦している間に前半が過ぎていきました。
ハッピバースデーの歌は、邦夫は歌で相槌を打ちます。
そう聞こえるよう練習しましょう。「今だ!」は声の大きさとタイミングで驚かします。敏江は最初怒りを抑えていますが表に出すようになります。悦子は狂言回し、常に冷静でゆとりがあり、敏江が怒り狂っていても動じません。


3幕は悦子が入ってくる所から。
悦子はドアをノックする前から、緊張感を。誰もいない部屋に勝手に入る気持ちは、黒田も同じです。
「沈黙」の部分は、しっかりと間をとりましょう。
山本達は普通に大きな声で部屋に入って来ます。
真四角なテーブルの周りで動くようになり、舞台が俄然、絵になってきました。会議机では感じることが出来ない印象です。





悦子は斎藤に対して説得の気持ちや優しさを出しはしません。事実だけを淡々と言います。相手の台詞を拾い、捕まえて、返す、お互いに内省的です。
ラスト皆が入ってくる場面を。台詞がない部分もそれぞれ芝居を作りましょう。フィナーレの賑わい、活力を存分に表現します。


人の練習を見ながら、自分に置き換えてみます。そして観客からどう見えるか、どう感じるかを知るのは、観客席からしかわかりません。様々なヒントを見つけられると思います。


いよいよ本番まで1ヶ月を切りました。来週はスタッフさん揃っての通し稽古です。スタッフさんは最初のお客様です。

2016年10月6日木曜日

段取りをドラマにするために。

10月4日 そよ風ペダル 担当:梶川

脚本稽古を積み重ねています。
筒井さん曰く、現段階は目指すべき高い演技スキルと、そもそもあるべき基礎演技の間の中間の演技で作品を成立させているようだということです。
高い演技スキルは目標としてこれから向かっていくとして、では今抜けている基礎演技とは何かということが問われます。

また現段階で段取りが全て決まり、それをもとに演技しています。
しかし段取りをこなすことが大切なのではなく、この段取をドラマに変える、ドラマを生み出す事が大切ですという話もありました。

ドラマとは何でしょう?



2016年10月4日火曜日

劇団員全員で脚本をつくる。

10月4日 恍惚一座 担当:梶川

山口さんが戻ってきました。
3ヶ月ぶりの稽古はまずはいつも通りラジオ体操から。
そして、高杉さんとつくった3作品を山口さんに発表です。
事前に少し稽古するのかしらと思いきや、いきなりの発表でした。
しかしなんとなく先週より気持ちのよい緊張感があったような。
発表後に山口さんから感想及びどうやってつくったのかの質問があり、次回公演の作品をどうするかという話にシフトしていきます。

次回は演劇祭参加なので舞台、照明、音響といったテクニカルワークに頼ることはできません。
それこそ役者の演技とお話が問われます。
この3ヶ月の結果としてお話の原型を劇団員で作るということに挑戦することになりました。

とりあえず今日は山口さんから出されたお題でエチュードをしてみます。
見ず知らずの3人が集まっています。
後から夫婦が出てきます。
3人はその奥さんの知り合いでした。
場所は保留にするので全員でエチュードの中で探ってみてください。

最初のチームのエチュードで、奥さんと3人それぞれの関係が明確になりました。
そして、夫婦は新しく始める仕事の人材を探していて3人を呼び出したということになりました。
この設定を引き継いで次のチームでは新しい仕事が何かを山口さんからこっそり旦那さん役に伝えて話を広げます。
相手チームの演技を見ている時にアイデアを思いつくこともあるでしょう。
例えばチームを交代で繰り返すことによって話を広げていくと。
そうでなくても、実は設定のことよりも偶然に生まれる何気ないリアクションこそ作品として積み重ねていきたいところで。
とにかく今年中でお話の原型を作り上げられれば。
引き続き来週もエチュードで。