2023年10月31日火曜日

【そよ風ペダル】岸田國士『留守』

 10/31 14:00-16:00

高槻城公園芸術文化劇場 中スタジオ3

担当:岡田


寒かったり、暑かったり。

気温が上下する、ある意味で秋らしい季節です。

ちなみに今日は少し暑い日でした。

シーンごとに進めてきた岸田國士『留守』もついに最後のシーンに辿り着きました。

33ページの頭から最後までを読みます。

いつもより覚えるセリフが長いですね。


本日の出席者は全員で7人。

3人チームを2つを作り、余った一人はそれぞれのチームに八百屋さん役として混じって参加します。


いつも通り、セリフを覚える時間を設けた後、

まずは台本を持ちながら上演してみます。




ずっと続けてきた『留守』の稽古で一貫して意識していた要点があります。


要点①:とりながら共演者同士でアイコンタクトを取る

要点②:大スタジオでやる想定で大きな声を出す

要点③:空間把握(観客に向けて演技をする意識を持つ)


今日のような稽古をしていながら、上記の要点にまつわる気になることが出てきたら(例えば、客席に背中を向けて話す瞬間があって違和感を覚える)、その違和感をひとつひとつ解決していくように心がけましょう(例えば、違うルートを歩くことで背中を向けなくて済む)。

そうした意識と行動を毎週の稽古で積み重ねると、本番や本番に向けた稽古のときにも活きてくるはずです。





さて、プロンプを用意して、台本を手離して発表してみます。

このシーンに長いセリフが無いこともあり、どのチームもテンポ良く会話が進んでいました。


セリフがないときの演技についても考えてみることが大切です。

セリフがないと不安になりますが、沈黙の時間であっても舞台上に人がいるだけで、間は埋まるものです。

考えるべきは、沈黙の時間を減らすことではなく、沈黙の時間をどのように過ごすかです。

筒井さんから指摘があった課題に向き合って、最後にもう一周発表して、今日の稽古を締めました。



2023年10月17日火曜日

【そよ風ペダル】劇的アイロニー

10/17 14:00-16:00 高槻城公園芸術文化劇場 中スタジオ3 担当:渡辺

引き続き、『留守』の稽古です。

物語後半、3人目の登場人物が入ってきて、それぞれの人物の持っている情報量に差があることで、微妙な腹の探り合いや、しれっと想いの告白がなされたりします。

登場人物にはそれぞれの事情がある。
が、お互いにはそれを全て汲み取れているわけではない。
ただ、お客さんだけは全体の事情を次第にわかってくる。
ややマニアックな話になりますが、登場人物は全てをわかっていないけど、観客はわかっている、この差を利用したドラマの構造を「劇的アイロニー」と呼びます。
(アイロニーは第一義には「皮肉」を意味するのではありません。)

さらに俳優は、当然事前にストーリーを知っていて、全員の事情をわかっています。ただ、演技をする際にはわかっていないふりをしなければならない。
これもアイロニーと呼ばれます(参考:福田恆存『人間・この劇的なるもの』)。

演劇は単に「文字通り」の情報のやり取りで進行するのではありません。
単純にストーリーのレベルでも、相手役から何かを問われて「知らないよ?」と答えるとき、それは「本当にそれについて知らない」ことを意味しない場合があります。
人間同士のコミュニケーションなので、内容がセンシティブであればあるほど、嘘をついたり隠したり仄めかしたり、いろんな細かいやりとりがありえます。

登場人物と観客のあいだの差、
登場人物と俳優のあいだの差、
登場人物同士のあいだの差、
さまざまにズレがあって、そこにドラマの効果が生まれる…のですが、そのためにはかなりの演技力が求められます。
余裕をもって演技に臨むために、まずはセリフを覚えるところから!




2023年10月11日水曜日

【千年団】うしと見し世ぞ今は恋しき

10月10日 15:00-17:00 富田ふれあい文化センター 大ホール 担当:渡辺  


最近は「百人一首」をめぐって色々遊び、稽古をしているようです。

百人一首が、来夏上演する作品創作の中心的なテーマになる…のかもしれない、ということがチーフから仄めかされました。

仮題は、「千年団の百人一首」

…とかいう噂? 色々想像力が膨らむ響きです。


百人一首、20年ぶりくらいにやりましたが、面白いですね。

歌を暗記しているかどうかも重要ですが、「瞬発力」、「判断」、あるいは「駆け引き」など、ゲームを盛り上げる要素がたくさん盛り込まれている感じがします。

また単純にゲームをやると、みんな本気になってしまいますね。ついつい熱中しちゃう。楽しい。


また、百人一首を学校で子どもたちに広めるべきかどうか、といったことをめぐる話し合いという設定で、「ステータス」をやりました。

一ヶ月ほど前にも、ステータスをやっていましたが、以前に比べて進化がすごい。単純におしゃべりを見ているだけで面白い。

おそらくですが、自らのステータスを正しく表現する、という目的意識にとらわれすぎないのが肝要なのだと思います。ステータスはあくまで推進力になる一つのキッカケ、くらいに捉えるのが良いのだろう、と見ている限りでは思いました。