8/22(火)14:00-16:00 高槻城公園芸術文化劇場 中スタジオ2 担当:渡辺
隣の家の女中が、舞台となっている家の女中の髪を結うシーン。
当の家も隣の家も主人が外に出ているときには、いつもこっそり二人でお喋りしたり、髪を結ったりしている様子。
面と向かって喋るのではなく、頭をいじりながら喋るというのは面白いな、と改めて感じました。
新聞記者が政治家に話を聞くときなどは、対面よりもバーカウンターで横並びに座ったほうが色々聞き出しやすい、ということがあるそうです。
目を見られると、色々探られる、という緊張が生じてしまうのかもしれない。でも、横並びだと結構ベラベラ喋ってしまう。
よく「人の目を見て喋れ」などと言われたりしますが、目線をあわせない方が良いコミュニケーションができる、ということがあるのかもしれません。
今回のシーンも、ご主人とあなた(女中)の関係はどうなっているのか、という突っ込んだ話をする箇所なので、真正面から聞き出そうとするのではなく、「それとなく」話をすることが肝要です。
その意味で、髪を結う、という舞台設定はかなり秀逸だと感じられました。それだけに難しそうでしたが…
(さらに言えば、ときどき鏡ごしに目があう、みたいな気まずい?瞬間もおとずれるはずで、さらに演技は複雑に…)
少し話は変わりますが、人の頭をいじる、というコミュニケーションはかなり特殊です。
われわれも日常的に、散髪をしてもらうとき、頭を少し傾けたりするなど、結構「共同作業」の感じがあると思います。
そういえば実家で飼っていた猫とも、似たようなコミュニケーションがあったなぁと思い出しました。首まわりを掻いてあげていたら、猫が少し体勢をかえて、「次はこの辺りを掻いてくだされ」とせまってくる。
このとき、人間と猫とにあまり違いはないのかもしれません。「物」同士のやりとり、というか。
今回は、みんなお互いに遠慮して、あんまり頭を直接触ったりはしていませんでしたが、
「頭を実際に触って、結構雑にいじる」みたいなことをしてみても面白そうだなぁと思って見ていました。
理容師も、上手い人ほどあんまりこちらを気遣うことなく、頭部にだけ集中して、ぐいぐいと作業を進めていく印象があります。そして変に気を使って優しく扱われるより、雑な方が逆に(?)心地よかったりして。