2023年12月20日水曜日

【そよ風ペダル】生きることが役になる

 12/19 14:00-16:00 高槻城公園芸術文化劇場 中スタジオ3 担当:渡辺

最高気温20度になったかと思ったら、また一気に寒くなりました。
なんという寒暖差!とにかく体調に気をつけたい。ですね。
今日も今日とてダンディズム。最初のごく短いシーンを、しばらくこだわって反復しています。

さて演技をするというのは「役を生きる」ことだ、と考える派閥(?)があります。
その総本山はスタニスラフスキーですが、彼の演技論は弟子を介してさまざまに伝播し、読解誤解、曲解を重ねて今に至ります。
しかしいずれにしても、「役を生きる」って一体なんなのか。
登場人物とは別に「演じる私」がいると、役を生きることにはならない。感情が自然と湧き上がってきたりしなくてはならない。
ちなみにスタニスラフスキーはこのことについて「(感情が沸き起こってくるような)無意識的な状態を意識的に起こす」などと言っていました。ややこしいですね。

繰り返し練習しているのは、禅問答の様な会話のシーンなのですが、
ここではダンディズムの精神に即して「余裕を見せながらも真剣に会話を楽しむ」ことが求められています。
(実際は余裕がなくても)余裕綽々に振る舞うこと。かつ、目の前の会話に没頭すること。俳優がこの課題に真剣に取り組むとき、「生きることがそのまま役となる」ような事態が生じている気がしました。そしてそれは「役を生きる」と一見、見分けがつかなくなっていくような。

そよ風ペダルの演技手法はスタニスラフスキーとは似ても似つかないですが、しかし根本のところでどこか通じていることもあるかもしれない。あらゆる演技の極意?には、何か共通する部分があるのかもしれない。そんなことを考えておりました。



2023年12月14日木曜日

【千年団】初見の楽しみ

 12/12 15:00-17:00 富田ふれあい文化センター 大ホール 担当:渡辺

今年は暖冬だそうですが、そう言われていても急に寒くなったりするので油断ができない。
が、今日はほのかに暖かったです。

久しぶりに千年団の稽古場にうかがいましたが、今回第二場の台本が配られるなど、順調に進行している様子です。

まず読み合わせをするのですが、まだ全体像が把握できていない状態では、登場人物の性格とか、互いの関係性、どういう問題を背後にかかえているのか等、謎を残したまま読んでいかなければなりません。
ただ、何度か読んでいく内に、分からなかったことが、分からないことが何なのかが、分かってくる、ことがある。それが嬉しく、楽しい。
特にチーフ小原さんの脚本は、そういう楽しさがある様な気がします。
何故このセリフがここに置かれているんだろう、みたいな疑問が、読んでいるうちに解消されていく。

私は旅行先で見知らぬ土地を少しずつ把握していって、一泊した翌日には「自分の庭」が増えている、みたいな感じが好きなのですが、それに少し似ている気がしました。

知らない道も歩いてみよう、きっと方向的には間違っていないだろう、みたいな探検が、だんだんできるようになっていく…とはいえ最初はおっかなびっくり、ひとまず一歩一歩。



2023年12月6日水曜日

【そよ風ペダル】範例としてのダイマル・ラケット

12/5 14:00-16:00 富田ふれあい文化センター 小ホール 担当:渡辺

あっという間に真冬、といった感じです。午後からは雨もちらほら、「凍てつく」くらいの寒さになってまいりました。

「演技する」ためには「演技しようとしすぎてはいけない」場合が結構あります。
例えば漫才でも、「芸人が笑わせようとしすぎる(ように見える)と客は笑えなくなる」という逆説があって、演劇でも同じようなことが言えるのだと思います。

本日、リーダーから「例えばダイマルラケットの様な」というアドバイスがなされました。
観客に向けられた、笑わせようという意識ではなく、話している二人の間で、真剣におしゃべりを楽しむ、といった様な例としてダイマルラケットが挙げられました。
私はまったく知らなかったんですが、さきほど動画を見てみたら、なるほど確かにと膝を打ちました(そしてかなり面白かった)。

アドバイスの直後、明らかに俳優たちの演技が変わった様に感じられました。
みんなの脳裏に彼らの芸風がこびりついていたのでしょうか。すごい。
「芸のモデル」の、なんと偉大なことか。

最後に、「話の筋だけは保ちながら、一つ一つの台詞を半分即興で喋る」という演技スタイルがほんの少しだけ試みられました。
次回以降は、この練習が主となるのかもしれません。一週おやすみで、再来週です。楽しみ。




2023年12月1日金曜日

【そよ風ペダル】演劇のダンディズム:余裕を演じるダンディを演じる

 11/28 14:00-16:00 高槻城公演芸術文化劇場 中スタジオ2 担当:渡辺

前回から「ダンディズム」が一つのテーマになっているようですが、そのテーマに即して戯曲を読みました。


「ダンディ」。考えれば考えるほど面白いです。


心の底から余裕に満ち溢れた「ジェントルマン」ではなく、実際は心身に(?)余裕もないけど、「あえて」余裕のある態度をとろうとし、そういう自分に陶酔する…それが「ダンディ」だということのようです。

武士は食わねど高楊枝、みたいなことでしょうか。

ジムに行って筋トレして、そういう自分に惚れ込む…のは違うか。機微が難しい。


いずれにしても、「ジェントル」であればそれは当人の本性というか性格というか、そういうものでしょうが、「ダンディ」はまさに「演技」の領域に位置しています。例えば自分の弱さだったりを隠して、気丈に「振る舞」ったりする、という意味で。


なので、「ジェントル」を演じるよりも、「ダンディ」を演じるというのは複雑に見えます。演じていることを演じなければならないのですから。

(筒井リーダーはいつもこういう厄介な演技を要求してきます!)


…いや。ややこしいことを言うようですが(そして今思いついたので自分でもよく分かっていませんが)、もしかしたら逆かもしれない。

「ジェントル」をほんとうに演じようとしたら、気持ちの奥底から役作りをしなければなりませんが、「ダンディ」を演じるためには、素の自分を残したままでも、ダンディズムに浸って遊んでいれば、それがそのまま役作りになる…?


今日は、二人でのやや不条理な問答のシーンでしたが、そこでも「真剣に演じようとするのではなく、目の前の問題に真剣に疑問を抱いて、真剣に応えてほしい」というオーダーがなされました。

ダンディを演じること、と通ずる話なのかもしれません。


ちょっとまだわかりませんが、「ダンディズム」というのがそれ自体で非常に面白い仕掛けであるような気がしました。