2023年9月19日火曜日

【そよ風ペダル】岸田國士『留守』を読む⑨

 9/19()14:0016:00

富田ふれあい文化センター小ホール



まだまだ暑い日が続きます。

本日も富田で稽古です。





なんとエアコンが点かないというハプニングに見舞われました(途中から点くようになりました!)。

無理せず、ゆったりと進行しましょう。



ペアないしトリオに分かれ、岸田國士『留守』を読んでいきます。


・ペアが読むシーン

p.18 お八重さん「あたし、奥様に悪いから、お暇を頂こうかと思ふの。」〜p.20 お八重さん「そんなことしてる暇はないわ。」


・トリオが読むシーン

p.22 おしまさん「巻煙草は、お八重さん。」〜p.25 八百屋さん「云わないよ。」





少し練習した後、1回目の発表です。

最初は台本を読みながらでも大丈夫です。人前で発表するということ自体を慣れていくのが目的の一つです。



さて、もう少し各チーム稽古をして、2回目の発表です。

台本は持たずにやってみます。プロンプター制度あり。


ひとつ、本番の想定も入れて取り組んでみます。

次回公演の会場も、前回と同じ高槻城公園文化芸術劇場の大スタジオを予定しています。

その大スタジオでやっていると想定して、セリフを言ったり動いたりしてみます。

本番会場は大きいので、稽古中からその空間を意識して取り組むことで、上演の出来がグッとよくなるはずです。


フィードバックを受けて、最後に3回目の発表。脚本の理解や役柄の関係性なども、稽古の数を重ねるたびに、演技表現として現れてきています。




akakilike(アカキライク)さんの『家族写真』という作品がフランス・パリで上演され、そこに講師の筒井さんがキャストとして参加する関係で、来週と再来週の稽古はお休みです。

2023年9月12日火曜日

【そよ風ペダル】岸田國士『留守』を読む⑧「内幕」

 9月12日 14:00-16:00 富田ふれあい文化センター小ホール 担当:渡辺健一郎

朝晩はだいぶ涼しくなりました。

ので、私は高槻から30分弱かけて自転車で来てみました。

大きな川をこえるなどするので、結構坂があって大変ですが、風が大変気持ち良い。

片道30分程度の良い運動になります。


ただ、私の到着直後ににわか雨が降ってきたので、危なかった。

みなさんはだいぶ降られてしまったようですが(風邪にはご注意を!)。


本日も引き続き、『留守』です。

私も昨年『紙風船』をやりましたが、岸田國士の戯曲は噛めば噛むほど味がします。

一つ一つのセリフにいろんな意味、意義、意図、いろんな可能性を考えられます。

さり気なく「どう、もう一つおせんべい」と訊くのにも、なぜすすめるのか、なぜそのタイミングなのか、と考え始めると止まりません。

もちろん重大な意味が隠れているという訳ではありませんが、会話のほとんどすべてがさり気なさの連鎖で成立しているのだと思えば、なおざりにはできない。

大きな事件が起きるお話ではないので、むしろこの「さり気なさ」こそが主題となっていると言えるのかもしれません。


主人が家を空けているときに、密会する女中二人。こっそり髪を結うやりとりをしたり、こっそりおせんべいを食べてしまう二人。

何か秘密がある(のかもしれない)女中。

それをそれとなく聞き出そうとするもう一人の女中。

多くが「表立って」は行われていない、という感じがあります。そしてそれが表面化してくる瞬間が面白かったりします。


このお話に限らず、人間関係って大部分がこうして「さり気なく」行われているのかもしれません。

相手の腹のうちを探ったりする、それをストレートに表現して実行する人もいますが、大抵の場合はさり気なく行われる。しかしこのさり気なさにも程度があって、及び腰なのか、積極的なのか、といった違いもどうやらある…


さらに、このさり気なさをお客さんに伝えなければならないという大変さ!

ひとまずリーダーから「二人の女中がおおまかにどういうキャラクターなのか意識してください」と指示がなされ、見せ方にメリハリが出た様に思います。他にはどんなアプローチがあるのだろうか… 難しい、楽しい。






2023年9月6日水曜日

【千年団】関係、逆転。

9/5(火)15:00-17:00 富田ふれあい文化センター 大ホール  担当:渡辺 

もう9月ですが、夏まっただなかの暑さ、といった感じです。ただ湿度が低いのか、先週よりは過ごしやすい…様な気もします。暑いですが。

本日は「ステータス」というエチュードをやりました。

いろんな稽古場で行われている有名なワークです。

1から10までの数字が与えられ、数が大きいほど立場が上の人を演じます。

自分がどの数字を演じるかを他の人に開示してはいけないので、演技で示さなければなりません。


関係性、立場の上下を示すその仕方にも色々バリエーションがありました。

まず「身振り、態度」(脚を組んでふんぞりかえるとか、ヘコヘコするとか)。

次に「口調」。そして「命令する/される」側の表明(人をアゴで使う、「雑用何でもやります」云々)。


1や10など、極端なステータスを与えられた人はそういったおおまかな演技で何とかなりそうですが、3~7くらいだともう少し微妙な表現が必要になります。

たとえばその場の話をどれだけリードしているか、従うか、などといったことがありそうでした。

あるいは「顔を立てる」とか「おうかがいを立てる」とか、「圧をかけてそれとなく自分の意見に賛同させる」といった細かい技術も色々ありそうでした。


普通はここまでで終わりですが、チーフから仕掛けが二つ、提案されました。

1. エチュードが始まってしばらくの後に、特定の「態度」を与えられる(「すべての意見に同意する」、「相手の意見の揚げ足をとる」といった様なこと)

2. さらに後、力関係を完全に逆転させる(もともと2の立場を与えられていた人は9に。役職は元のままで、ただ力関係のみを逆転させる)。


立場が低いのに偉い人の意見と対立しなければならないとか、

何か新たな情報や状況の追加によって、立場は低いのにその場の空気を掌握する、といったことが課せられます。

しれっとやるには難しすぎる課題でした! ただでさえ元のステータスを演じるのが難しいところに、それが入り乱れるので、どういう戦略で切り込んでいくかという発想力、共演者がどういう戦略を凝らしているのか把握する対応力、それを演じ切る表現力など、様々に求められます。

(そしてこれらをやり遂げる「度胸」が最も必要だったのかもしれません。)


登場人物の位置している立場が、安定したまま終わっていくなら「ドラマ」になりません。

立場の逆転、あるいは逆転させるための試行錯誤やその成否などがドラマの種になるのでしょう。

そういう意味では演劇の本質をついた二つの仕掛けだった様に思います。それだけに難しそうだった…






2023年9月5日火曜日

【そよ風ペダル】岸田國士『留守』を読む⑦

9/5()14:0016:00

富田ふれあい文化センター小ホール



今週、来週、再来週は富田で稽古です。


講師の筒井さんが高槻城の劇場と稽古場を間違え、少し到着が遅れてしまっている間、毎稽古の最初に行うストレッチを受講する方々同士で進めていました!

普段のストレッチ中に筒井さんが仕切るように、受講生がストレッチの順番や注意点を「真似している」のを楽しく拝見していました。

日常に潜む演劇的な瞬間ですね。






さて、今日も岸田國士の『留守』を使っていきます。


演技の仕方を具体的に学ぶための稽古というより、「稽古の仕方」や「稽古をするための準備」を学ぶことに重点を置いています。


自分で演技プランをガチガチに考えてきても、相手がいるので考えていた通りにできるとは限りません。

そうしたことも大事ですが、今目の前にいる相手と楽しむことが1番大切です。

そのスタンスが演技のベースになると、どんな相手でもどんな脚本でも、お芝居に仕上がっていくのです。


その場で起きていることに反応し、相手と楽しんでいきましょう。






組むペアを毎回の稽古で変えています。

脚本上では女中二人の会話が中心なので、なんとなく避けてきましたが、今日はついに初の男性同士のペアが誕生しました!



今日やってみるのは、p.14おしまさんの長いセリフの途中「近所で〜」から、p.16お八重さん「あたしが、あとで片づけるからいいわ。」まで。お八重さんがおしまさんの髪を結いながらお話ししているシーンです。


一組できたトリオは、八百屋さんが家にやってくるp.22おしまさん「巻煙草は、」から、p.25(長い沈黙)までをやってみます。いつもより覚える範囲が多いですかね。



しばらくペアないしトリオで練習し、まず一度台本を持ってもいいので発表してみます。


その後、台本を持たずに発表できるように練習して、もう一度発表です。






ちなみに、どうしてもセリフが出てこない場合に備えて、セリフを教えてあげる「プロンプター」役を導入してみました。

本番では観客にとって話がスムーズに進んでいくことが重要です。物語の世界観からズレないように、セリフを教えたり教えてもらったりする練習も兼ねています。


セリフ以外にも舞台上では様々なハプニングがしばしば起こります。そうしたときに、観客には気づかれずにさりげなく関係者にSOSを出して対処できるのも、舞台に立つ俳優が準備しておく技術ですね。



やってみると分かってくるのですが、実はプロンプを入れるプロンプターにも難しさがあります。

プロンプター制度を入れると、舞台上の俳優二人だけでなはく、プロンプターを含めた3人の関係でお芝居が進むのです。


「舞台上の二人の間(ま)は何の間(ま)なのか」

「演技なのか?」

「セリフが出てこないのか?」

「プロンプを待っているのか?」


などなど。

「次のセリフを教えてあげるだけ」のために、プロンプターも考えることがたくさんあるのです。

そうした「駆け引き」を楽しみながら、最後にもう一度ずつやってみます。




同じ脚本を続けていることもあり、みなさん役柄が身体に馴染んできて、よりリラックスした自然体で演技できるようになってきました。

微細な工夫も数を重ねる度に見えてきています。


プロンプターがいることで、セリフを覚えるプレッシャーから解放されて、言い方や動き方にも意識を向けて、伸び伸びできているのかもしれませんね。