2015年6月11日木曜日

役柄という他者とのつき合い方。

6月9日  恍惚一座
 
ギリギリで第3稿が稽古場に届きました。
 
そして前回稽古のあとに女性のキャスティングについてみなさんにメール連絡されていて。
 
今日はとにかく作品の骨格の総仕上げという感じで、脚本を配役の通りで読み合わせして保留になっている男性キャストを決めていきます。
 
今回の稿を配役通りで読むことによって、お話のなかでどこが気になっていて、こうなると素敵なんじゃないかというアイデアが出てきます。
 
稿を重ねるごとにまったく新しいシーンやアイデアが出てきて、それに刺激されて稽古場からアイデアが更に返されていく。
 
演出家を介して脚本家と劇団員との間で活発な意見交換がなされ、ひとつの作品が作り上げられようとしています。
 
自画自賛で申し訳ありませんが、かなり質の高い作品に仕上がってきています。
 
そして男性配役も決まり、残りの脚本の変更点も見えてきたところでいよいよ皆さんセリフ覚え開始です!
 
本当にお待たせしました、前回公演の反省としてセリフ覚えを早くしてよりたくさん演技の稽古時間を確保しようと話し合いました。
 
恍惚一座でおそらくはじめて、脚本を離す締め切りを設定しました。
 
しかし覚えるとともに、実はこの段階で役柄の読み込みが必要になります。
 
まずは自分と役が違うということを確認できれば。
 
演じる上でありのままの自分の感性で稽古を進めると、上手くいかなかったとき自分自身を否定してしまうこたに繋がりかねません。
 
役柄を自分とは違うところに置いておけば良くも悪くもそれは演技の問題であったり、役柄や物語の読み取りの深さが原因になり心折られることなく創作に打ち込めます。
 
ただでさえ我が身を人前に晒すという過酷な状況にいなければならない役者にとって、自分とは違う役柄の仮面をかぶるのは自分を守るための必要な技術です。
 
その別の役柄をつかまえるために、まず自分としては言いにくいセリフや違和感のあるセリフを見つけることがヒントになります。
 
つまりそこに自分と役柄の違いと役柄の本質が隠されており、そのセリフを発する理由を掴むことが他者を理解するのと同じように役柄を理解することになります。
 
そしてその納得して違和感なく発することができるようになったとき、役柄を演じられたということになるのでしょう。
 
だからといって無理矢理に違和感のあるセリフを作ることはありませんが。
 
すべてのセリフに納得できて役柄のことを身近に感じられたなら、それはそのまま演じてしまえば。
 
稽古していればやるべきことはたくさんありますから。
 
大切なのは役柄は自分でなく他者であることを忘れないということ。
 
役柄に違和感なく理解できるというのは、ウマのあう友達や家族みたいな他者であったということに似ています。
 
話が長くなりましたが、とにかくまずは役者として役柄を通して作品を読み込んでいきましょう。