2016年7月15日金曜日

問題を自力で広げていく。

7月12日 そよ風ペダル 担当:梶川

2場の稽古が順調に進んで、今日も6ページ分の追加脚本が届きました。

以前にこのブログでも書いているように、今回のそよ風ペダルの脚本は筒井さんの中から生み出されています。

これまでは劇団員との事前の話合いなどのリサーチがあって、それと筒井さんの思いを混ぜ合わせて脚本は書かれていました。

今回は初めから筒井さん発信で作品が作られていきます。

差し出されたこのお話をみなさんはまずは受けとめていかなければなりません。

つまり事前のヒントなしで、出された問題を自力で解いていくことになります。

ここでひとつ注意が必要なのは、脚本解釈においては答えがないということです。

例えば同じ役を違う人が演じたら、まったく別のキャラクターに見えることがあります。

それはどちらかが正しくてどちらかが間違っているということではありません。

どんな演技であれ、見る人にとって説得力を感じられるものであれば創作としては正しく進んでいます。

提出された問題に対して正解がないということは、そこには無限の可能性が広がっています。

そしてヒントがないので、事前に視野が狭まることもありません。

もしかすると今、稽古場では一つの答えを探そうと必死になっているかもしれません。

作品の魅力は細部に宿りますという話をこのブログで以前書きました。

稽古場では細かなディテールにこだわって丁寧に創作しています。

その細かな演技を実現するためには正しい一つのやり方を見つけなければならないと感じるかもしれません。

つまりその細かい演技のひとつの答えをさがしていく。

細かなところの演出家の要望でも、それに対する役者の選択は無限に広がっています。

正しい一つの演技をさぐるのではなく、面白い数多の演技を冒険してみる。

自由に想像の羽を広げて台詞を固定することなく話せれば、きっと豊かな作品が立ち上がってきます。


脚本として提示された役柄という問題を、例えば役柄に100個くらいの質問をたり、過去の履歴を考えたりして自分で勝手にややこしい問題を増やすことで、案外と台詞をいきいきと喋れるようになるかもしれません。

繰り返しになりますが答えはありません。

目の前にはワクワクするような好奇心を刺激する問題だけが転がっています。

あとはただ楽しむだけですね。