2016年7月20日水曜日

ストーリーを説明する体にならない。

7月19日 恍惚一座 担当:梶川

脚本を創作するための打合せというか、立ち稽古というかがチームごとに進んでいます。

稽古始めましょうとなる前に、すでにチームにわかれてこんなに脚本書いてきてくれたんやとか、うちはまだないねどうしようとか。

その流れでいつの間にか稽古が始まっていきました。

脚本を作るとなると、そこにはいろいろな要素が隠れていることに気付かされます。

人物を決めて、それぞれの関係を決めて、場所はどこで、何をしていて。

脚本を書くとしての話し合っているとストーリーをどうするかということになってきます。

確かに作品として魅力を出すためにストーリー・ドラマ・事件・目的(どう呼んでもいいのですが)といった構造としての仕掛けがあった方が面白いです。

しかし今回はそういった仕掛けを作り上げることを稽古しているのではありません。

ストーリーがなくても実際にそこに登場人物がいる、生きているという存在感、説得力があれば充分に見ている人に伝わるものがあるということを体験することではないでしょうか。

演劇の基礎稽古のひとつで出会いのワークというのがあります。

上手と下手からそれぞれ人が歩いてきて、すれ違いお互いに振り返り出会う。

振り返って出会った時の印象や湧き上がってきた感覚にそって、そのあと二人で動いていきます。

相手を感じながらその場の感覚で動いていくというとこにワークの目的があるわけですが、例えばこの時に台詞は使わないことが多いです。

つまり台詞もなく事前に何をするかは決めていないので、そこにストーリーはありません。

ありませんが出会いのワークが上手くいくと、見ている側の中で勝手なストーリーが浮かんできます。

ストーリーは後から追いついてきます。

つまり今は先にストーリーを置いてしまって、そこに縛られながら作品を作っています。

そのためストーリーを導き出すための唐突な台詞が出てきたりします。

ストーリーがいらないと言いません、あると楽です。

しかしそれが出てこようとこなかろうとあまり問題ではありません。

後ろの最後の方に置いておけば必要な時に必要な分だけ顔を見せます。

ストーリーに縛られることなく、説明にならず、だたそこにいて相手とやり取りをしている。

役柄と人間関係さえ決めてしまえば、あとは自由に動き出せばいいのかもしれません。

小説家なんかが勝手にキャラクターが動き出したと言いますがまさにそんな感じで。

どうであれ、来週には脚本を完成させ8月からは演技の稽古に入っていきます。

実は脚本が完成したところで、立って演技してみて初めてわかることもあります。

そうやって少しずつ修正していって脚本は出来上がります。

ずっと脚本と言ってきましたが、そういう意味で演劇では脚本のことを台本と言います。

たたき台の本ということらしいです。

とりあえず台本を作り上げましょう。