2022年4月20日水曜日

【千年団】まじめに遊ぶ

 4/19 15:00-17:00 現代劇場306 担当:渡辺

4月から再開していました千年団、私は2月末の公演以来の参加です。
前半は入念な体操と発声ののち、簡単なシアターゲームをしました。

(私も参加したので写真は撮れませんでしたが)
椅子を三脚ずつ、計六脚向かい合わせに並べ、その後ろに一人ずつ立ちます。
立っている6人の他、2〜3人がランダムに椅子に座ります。これが初期配置。

ゲームが始まったら、立っている人は、自分の前の椅子に誰も座っていない場合、向かいの椅子に座っている人をウインクで誘惑します。こちらにおいで、と。
座っている人は、ウインクをした人の椅子のところまで移動します。
ただし移動しようとしている人の後ろに立っている人は、移動を阻止するためにその人にタッチします。
タッチされたら移動失敗ということで同じ椅子に座ったまま。これをひたすら繰り返します。

移動する人にはウインクに気づく視野の広さと機敏さが、タッチする人には反射神経などが求められます。
ただ恐らくこのゲームの肝はウインクする人。

タッチする人の意識をかいくぐって、気づかれないようにウインクを届けなければならない。
ウインクするぞするぞ、と気を発していると絶対に阻止されてしまいます。
この「やってやるぞ感」みたいなものを消す、という技術?は武道、とりわけ剣道などでは求められることです。
演劇でも、「私という俳優が今こういう演技をしていますよ!」と身体から溢れる「気」が前に出てきてしまうとあまり面白くならない。
「俳優」の「私」感は背後に消えていった方が良い。とはいえ、単に脱力すれば良いというものでもない…演技の難しさの一つがここにある気がします。

後半はチェーホフの短編、『小役人の死』。
リーダー小原さんが「飽きるまでこれで遊ぶ」と持ってきた戯曲です。今週で2回目。
演劇にも色々な作り方がありますが、演出家が最初から強固なイメージを持っていて、それに当てはめるように俳優を動かす、というのは(少なくとも現代では)あまり主流じゃないように思います。
実際に俳優や舞台装置を配置してみて、動いてみて、この感じ面白いからこの方向で行ってみるか、といったトライ&エラーが求められる。
共同作業をしていく中で、このある種の行き当たりばったり感を許容できる空間って実はあんまりないかもしれません。
(会社で、行き当たりばったりに仕事をさせられたら不満が起こるでしょう)
とはいえ、何でも良いから適当にやってみる、というわけでもない。
やってる方は大真面目にあそんでいるわけです。

「遊び」と「真面目」は対置させられることも多いですが、やらされる仕事よりも、演劇の方が真面目に取り組めるんじゃないか? 本当の「真面目」は、どこかに遊び感がないと成立しないんじゃないか?
(私もいっときは真面目な営業マンをやっていたことがありましたが、売上を伸ばすという「遊び」に興じていたと言えるかもしれません。)
そんなことを考えていました。

久しぶりなので長く書いてしまった。
暑くなったり寒くなったり、なかなか体調管理も大変ですが、ご自愛ください。適度に遊びつつ。