2023年4月26日水曜日

【千年団】目線と想像力

 4/25 13:00-17:00 富田ふれあい文化センター 大ホール 

演劇の手法の一つに、「見立て」というものがあります。
落語で、扇子を箸やキセルに見立てるのは有名ですね。
ただ、実際に何らかの「物」を使う場合と、何も使わず身一つで「見立て」を可能にする場合とあります。例えばパントマイムであたかも壁があるかのように振る舞う、とか(これを見立てと呼ぶのは一般的ではないでしょうが)。
見立てという手法が良いのは、それが必然的に観客の想像力を喚起することです。
観客はただ受動的に観るだけではなく、何らかの積極性を求められることになる。
ここに演劇の醍醐味の一つがあるような気がしています。














今回のスポーツ×チェーホフでは、たくさんの「見立て」が試みられており、例えば「実際には存在しないボールの行方を、複数人で同時に眼で追う」といったことが表現されます。
このとき、俳優たちの目線がバチっと一致したときの感動はすごい。確かにボールが見える。実際の球技の情景が見える、瞬間が訪れる。

セリフや段取りを覚えたり、その発話の仕方に気を使ったりするよりも、ある意味では地味な作業です。しかしこのイメージ操作の練習は演劇の根幹をなすため、今後はこの辺りにも、多くの時間が割かれることになりそうです。楽しい。