2023年9月12日火曜日

【そよ風ペダル】岸田國士『留守』を読む⑧「内幕」

 9月12日 14:00-16:00 富田ふれあい文化センター小ホール 担当:渡辺健一郎

朝晩はだいぶ涼しくなりました。

ので、私は高槻から30分弱かけて自転車で来てみました。

大きな川をこえるなどするので、結構坂があって大変ですが、風が大変気持ち良い。

片道30分程度の良い運動になります。


ただ、私の到着直後ににわか雨が降ってきたので、危なかった。

みなさんはだいぶ降られてしまったようですが(風邪にはご注意を!)。


本日も引き続き、『留守』です。

私も昨年『紙風船』をやりましたが、岸田國士の戯曲は噛めば噛むほど味がします。

一つ一つのセリフにいろんな意味、意義、意図、いろんな可能性を考えられます。

さり気なく「どう、もう一つおせんべい」と訊くのにも、なぜすすめるのか、なぜそのタイミングなのか、と考え始めると止まりません。

もちろん重大な意味が隠れているという訳ではありませんが、会話のほとんどすべてがさり気なさの連鎖で成立しているのだと思えば、なおざりにはできない。

大きな事件が起きるお話ではないので、むしろこの「さり気なさ」こそが主題となっていると言えるのかもしれません。


主人が家を空けているときに、密会する女中二人。こっそり髪を結うやりとりをしたり、こっそりおせんべいを食べてしまう二人。

何か秘密がある(のかもしれない)女中。

それをそれとなく聞き出そうとするもう一人の女中。

多くが「表立って」は行われていない、という感じがあります。そしてそれが表面化してくる瞬間が面白かったりします。


このお話に限らず、人間関係って大部分がこうして「さり気なく」行われているのかもしれません。

相手の腹のうちを探ったりする、それをストレートに表現して実行する人もいますが、大抵の場合はさり気なく行われる。しかしこのさり気なさにも程度があって、及び腰なのか、積極的なのか、といった違いもどうやらある…


さらに、このさり気なさをお客さんに伝えなければならないという大変さ!

ひとまずリーダーから「二人の女中がおおまかにどういうキャラクターなのか意識してください」と指示がなされ、見せ方にメリハリが出た様に思います。他にはどんなアプローチがあるのだろうか… 難しい、楽しい。