2023年9月6日水曜日

【千年団】関係、逆転。

9/5(火)15:00-17:00 富田ふれあい文化センター 大ホール  担当:渡辺 

もう9月ですが、夏まっただなかの暑さ、といった感じです。ただ湿度が低いのか、先週よりは過ごしやすい…様な気もします。暑いですが。

本日は「ステータス」というエチュードをやりました。

いろんな稽古場で行われている有名なワークです。

1から10までの数字が与えられ、数が大きいほど立場が上の人を演じます。

自分がどの数字を演じるかを他の人に開示してはいけないので、演技で示さなければなりません。


関係性、立場の上下を示すその仕方にも色々バリエーションがありました。

まず「身振り、態度」(脚を組んでふんぞりかえるとか、ヘコヘコするとか)。

次に「口調」。そして「命令する/される」側の表明(人をアゴで使う、「雑用何でもやります」云々)。


1や10など、極端なステータスを与えられた人はそういったおおまかな演技で何とかなりそうですが、3~7くらいだともう少し微妙な表現が必要になります。

たとえばその場の話をどれだけリードしているか、従うか、などといったことがありそうでした。

あるいは「顔を立てる」とか「おうかがいを立てる」とか、「圧をかけてそれとなく自分の意見に賛同させる」といった細かい技術も色々ありそうでした。


普通はここまでで終わりですが、チーフから仕掛けが二つ、提案されました。

1. エチュードが始まってしばらくの後に、特定の「態度」を与えられる(「すべての意見に同意する」、「相手の意見の揚げ足をとる」といった様なこと)

2. さらに後、力関係を完全に逆転させる(もともと2の立場を与えられていた人は9に。役職は元のままで、ただ力関係のみを逆転させる)。


立場が低いのに偉い人の意見と対立しなければならないとか、

何か新たな情報や状況の追加によって、立場は低いのにその場の空気を掌握する、といったことが課せられます。

しれっとやるには難しすぎる課題でした! ただでさえ元のステータスを演じるのが難しいところに、それが入り乱れるので、どういう戦略で切り込んでいくかという発想力、共演者がどういう戦略を凝らしているのか把握する対応力、それを演じ切る表現力など、様々に求められます。

(そしてこれらをやり遂げる「度胸」が最も必要だったのかもしれません。)


登場人物の位置している立場が、安定したまま終わっていくなら「ドラマ」になりません。

立場の逆転、あるいは逆転させるための試行錯誤やその成否などがドラマの種になるのでしょう。

そういう意味では演劇の本質をついた二つの仕掛けだった様に思います。それだけに難しそうだった…