2016年11月23日水曜日

言語情報:7%、聴覚情報:38%、視覚情報55%。

11月22日 恍惚一座 担当:梶川

配役を固定しての稽古開始です。



キャストが固定したことにより演出及び演技指導と脚本のアイデア出しが同時並行で進められています。
もちろん台詞は覚えていないので脚本を持ったままの立ち稽古になります。
脚本を持ちながらなので難しいですが、できるだけ台詞のない時は顔を上げてどこを誰をみているのか、目線を意識して演技をしていくだけで面白さが伝わりやすくなります。

コミュニケーションにおいて、メラビアンの法則というのがあります。
とあるメッセージを人がどのように受け止めるかの影響について、話の内容などの言語情報が7%、口調や話の早さなどの聴覚情報が38%、見た目などの視覚情報が55%の割合であると。
こう考えると脚本の台詞という言語情報もさることながら、それをどんなふうに音声化するか及び、目線や身振りや空間の中での立ち位置といった距離感覚が問われます。
演技と言うのは言語情報の7%以外の全ての事をになうものなのでしょう。
どんなに読合せとして音声のやりとりが上手くいっても45%で半分にも達していないのですね。
脚本を持ちながらでも、どうすれば視覚情報としての演技ができるかが立ち稽古でこだわりたいところです。
確かに脚本を持つと少なくとも片手は塞がれますし台詞を離す瞬間は視線も奪われます。
ですが脚本に視線を向けていても顔や体の向け方で方向性は出せます。
どこに立つかで距離感は表現できます。

そしておそらく盲点になりがちですが重要なのが呼吸です。
聴覚情報と視覚情報を繋ぐものでもありますが、呼吸が変われば声の出し方も変わりますし体の緊張と弛緩にも影響するので体の状態としての見え方も変えていきます。
例えば普段の生活で息を吸ってから喋りはじめると途端に言っていることが嘘くさく聞こえるそうです。
台詞を言うのに不慣れだと、相手の台詞終わりで息を吸って準備を整えてから喋りはじめてしまう。
これに違和感を感じてしまって見にくくなっていく。
吸うのでは吐くのが先なのです。
吐ききるから自然と吸ってしまうのです。
逆に言うと吸うことが表現になることもあるのですが。
どうであれ呼吸を意識することで聴覚と視覚のどちらの情報も取扱いやすくなるように感じます。
日常生活の中でもちょっとした時に自分の呼吸を感じると良いかもしれません。

2016年11月15日火曜日

暫定配役で脚本を深める。

11月15日 恍惚一座 担当:梶川

追加脚本が届きました。
今回は3ページ。
山口さんが本番前ということで毎週届けられるページ数が減っておりますが。
本番終わった来月にはきっと届くページ数が増えるでしょう、と期待しつつ。
読み合わせ、立ち稽古というサイクルで先週まで稽古してきました。
配役が決まっていなかったわけですが、それだと演出をいれてのシーン創作ができないわけで。
脚本を書く上でもシーンができた方がヒントが多いわけで。
というわけで脚本完成を年内として、それまでの暫定配役をきめました。
恨みっこなしのあみだくじで。
偶然に任せるので自分とは全く正反対の役柄が配役されて面白いです。
立ち稽古は演出をするために途中で止まったり繰り返したり。

作品の魅力がより一層明確にわかるようになってきました。
とにもかくにも年内完成を目指しましょう。

2016年11月14日月曜日

新たな家族のカタチ。

11月8日 恍惚一座 担当:梶川

次回公演の作品創作を進めています。
今週も山口さんから新しい脚本が届きます。
今回で予定されている役柄が登場しました。
安部公房の友達を下敷きにしていて。
友達では孤独な男のもとに家族が押しかけてくるというもので、まずは孤独な男をおばあちゃんに置き換えています。
オープニングのシーンに「家族って何だろうね」というセリフがあります。
これがまずは今回の作品の核ではないかと感じています。
ふっと宮部みゆきのRPGが頭をよぎります。
2030年には家族がなくなるというようなドキュメンタリー番組もありました。
別に社会的なことをテーマに据えたいわけではありません。
ただ多くの人が身近に感じられて興味を持てるものを楽しんでもらえるように。
難しい話を簡単に伝えられてこそ価値があるはずです。
テーマはさておき、まずはストーリーとキャスティングを考えていきましょう。

2016年11月1日火曜日

水道が止められる、戸籍を調べる。

11月1日 恍惚一座 担当:梶川

お休みを挟んで久しぶりの稽古です。
前回は安部公房の友達を下敷きに即興をしました。
今週はなんと脚本とシノプシス表と人物相関図が配られました。


山口さんからいろいろ説明がありましての読み合わせ。


作品についてや役柄についての意見やアイデアが話し合わされます。
水道がいつどのように止められるかとか、戸籍が調べられないようにするにはどんな設定にするかとか。
友達が下敷きだからかなんなのか、現実に起こった事件が参考になったりします。
不条理な設定ゆえに少しダークな雰囲気になりかねない。
ですので作品はコメディを基調にしていくことだけは決定です。

立ち稽古をして脚本内容を共有した上で、その続きのシーンを即興で演じていきます。


いろんな役をいろんな人がやったりして稽古場での即興を参考に山口さんが脚本をという繰り返しで仕上げていくという算段です。

上演時間が45分程度と限られているのですが、だいたい脚本の文字数で換算すると1万字程度だそうです。
すでに2千字書かれていて、まだストーリーはまったく始まっていません。
到底1万字でおさまりきらないと予想されつつ、まずは上演時間や文字数を気にせず作り上げたあとに短くしていくということに。
フルバージョンも凱旋公演として上演したいと。
何にせよ年内で作品完成を目指しながら、配役も決めていく予定です。
どんな作品になるか本当に楽しみです。


2016年10月27日木曜日

キラーセンテンス

10月27日 WakuWaku 担当 土井
205号集会室にてラスト練習日です。13時からまずは2幕から。敏江は慰めつつ結構ひどい事を邦夫に言っています。邦夫は敏江の台詞を受けて自分の台詞を。相手の台詞に乗っける台詞とそうではない台詞の違いをはっきりさせて下さい。
自分は表現しているつもりでも、そう見えない事にも気付きましょう。
悦子登場のシーン。お祝いのサプライズを仕掛けている喜びを表して下さい。

14時半から3幕鈴村と山本の登場から。
斜めに置く机(麻雀台)、いちばん効果的な配置は?
山本が黒田を追って走って出ていくのは客に見えています。
鈴村の「三人打ちします?」はそれまでとトーンが変化。
台詞に強弱をつけ堂々としゃべりましょう。
鈴村は斎藤の我が儘、信念を「脳内劇場」として客観的に冷静に表現します。茶化しの中に尊敬も。
2度出てくる「おいしい。」初めはボソッと独り言。後は美味しさに感動して。
山本は敢えて言いにくい、倒置した文章を意識し、しっかり点で区切って言いましょう。
斎藤達の再登場。悦子の「キラーセンテンス」この一言を本当に大事に。次の台詞までの間をしっかりと取ります。悦子の気持ちの強さは攻撃ではありません。感情を出し切り、間を取り台詞のトーンを変えます。
悦子と斎藤、相手の出方によって対応を変えてください。
16時より1幕を通し。27分かかりました。
大町は出だしの台詞でそれまでの時間を表現。自分の中に入れる台詞の有無。切り替えの台詞はスパッと。
中島は癖のファルセット(裏声)を意識し、使い方を吟味しましょう。
宮田の「ナンパ」は淡々と処理。
メモを取り合いながらの会話、難しいですね。目配せや、相手を意識した独り言、繊細な無言の演技が大切です。

明日は14時から16時まで本会場にて稽古です。稽古をし過ぎて疲れてくると、他の事が無性にしたくなったりしますし、何だか台詞が紋切り型になる事もあります。そんな時は、自分がその役と付き合える(生きる)時間はもうしばらくしかない、と思って気持をリフレッシュして下さい。



2016年10月25日火曜日

オチを予想させないネタ振り。

10月25日 そよ風ペダル 担当:梶川

今日は午前中から集まって自主練があってからの本稽古となりました。
来週はいよいよ本番ですから、みなさんの目の色が変わってきました。
セリフが出てこなくて悔しさを感じて、しかしもうここまでくると覚えるしかありません。
とにかくは舞台上で忘れてしまっているという状態、素の状態にならないことを。
セリフが出てこなくても役柄で居続けることはできるはずです。
何かを思い出そうとすると目線が斜め上に向けられることが多いとして、ならば絶対に目線をしゃべっている相手から離さなければ見ている側としては演技が続いているかもしれないと思えます。

いかに役柄で居続けるかということが問われます。
脚本を読み込んで演技を考えてきました。
つまりは何が面白くてそれをわかりやすく表現しようとしてきました。
役者さんはこの先どうなるかを知っていて、つまりオチを知っているのでそこに向かって演技していきます。
しかし役柄はオチがどうなるかなんて知ってはいません。
それにネタ振りの時点で見ている側にオチがわかってしまったら面白味は半減です。
役柄で居続けるならば先のことを考えず目の前のことにだけ集中して反応していければそれだけでいいです。

役者さんが1人で事前に作品に対して準備するとします。

脚本を読み込んでストーリーを把握し、台詞を覚えてどんな言い方をするか、その台詞でどこに動きどんなジェスチャーをし、役柄の感情がどんなものかを考えていきます。

そのことはとても大切でぜひやっておくべきことです。

しかし実際に稽古場に来て相手役や演出家と作品を作るときは、この事前の準備を全て忘れる必要があります。

準備してきたものに固執して周りの影響を受け付けなくなってしまうと、新たなアイデアも出てきませんし、その固執された演技が面白いのかを検証することもできません。

固執した演技よりも面白くない演技をしたとして、その面白くない演技が生まれたからこそ固執した演技のどこが面白いのかがわかることもあります。

もちろん固執した演技より面白い演技が他にある可能性もあります。

自分の演技に固執を忘れるため、捨て去るためにこそ、みんなで稽古する時間が必要になってきます。


繰り返します、役者さんに求められるものは忘れることと先読みしないこと。

忘れるためにはまずは覚えねばということもありつつ。

やはりセリフ覚えからですかね。




2016年10月21日金曜日

自分と違う人物を生きる

1020 WakuWaku 担当 土井
13時から抜き稽古です。 今日も音響さんが来られています。2幕を13時から、14時からは3幕の初めから。斎藤と黒田はお互い安心して喋れる関係。黒田の座る場所が変わるだけで絵の変化が生まれます。
 
自分とは全く違う鈴村の役作りに悩むタンポポさん。実は芝居をやりたいと思った理由は「自分と違う人間を生きてみたいから」でしたね。今の苦しみがいつか楽しさに変わる事と信じています。
悦子は黒田との会話の中で独り言を云いながらも相手に聞かせたいような台詞が幾つかあります。
悦子は斎藤が何を返してくるか想定して話しかけますが、返事がありません。それからの会話には徐々に「間」が入ります。



ここからも独り言の部分がありますが、反対に斎藤の言葉尻を捉える部分もあります。山本、鈴村は麻雀を手に触りながらも頭は悦子たちのやりとりでいっぱい。そのリアクションは良くなっています。黒田は余裕を持ちながらも思考をめぐらしています。
斎藤が出て行く前、お茶が美味しいと感じる事ができる心境に変化しています。飲む場所も変わりました。

ラストシーンは皆が別の事をしながらも本筋の台詞が聞こえ、それにリアクションできるように。そして一瞬の静寂を使い、仕切り直しをします。



16時より1幕。
舞台に置くカバンの位置を手前にセットしてみました。これも位置の違いで絵も演技も変わります。永遠の命題「台詞が重くならないように」。

台詞は一拍間をとることで、後の台詞が引き立ちます。軽さはあるけど、とても楽しいわけではない感情、重たいものを裏に隠しながらの楽しさ。でも「重く」ならないで。
「おおっ!」「えー!」の感嘆詞、二人の反応は違います。大町と宮田はメモを奪い合いながら自然に台詞を云えたらいいですね。静寂の後に漂う暗い空気を漂わせないように。




来週の稽古がラストです、今日言われた事を忘れずに、次回に積み上げて行きましょう。まず台詞はしっかりと覚え、「人物を生き、相手に働き掛け」ましょう。
来週は、1幕今回の続きから。2幕悦子が出て来る前から。3 鈴村と山本の場面から稽古を始めます。
スケジュールは追ってメール致します。いよいよラストスパート。ご自身・ご家族ともに健康で。