2022年7月20日水曜日

【そよ風ペダル】演技の多層化

 7/19 14:00-16:00 富田ふれあい文化センター大ホール 担当:渡辺


演劇では「劇中劇」の手法がよく用いられます。

演劇は観客と舞台上が地続き…なのに、舞台上は何らかのフィクションを構成しています。夢/現の境界があいまいな訳です。
このことを、近松門左衛門は「虚実皮膜」と形容しました。
そういうメディアの特性のためか、境界が曖昧なことそれ自体を表現する演劇は結構多い。
シェイクスピアなんかはほとんどの作品がそうだと言っても良いかもしれません。
『夏の夜の夢』や『ハムレット』ではベタに劇中劇が出てきますが、『マクベス』なんかでも、登場人物の演技の上手い/下手がドラマの根本に関わっていたりして、演劇や演技それ自体が主題にされていると言っても過言ではありません。

よく演劇自体を主題にする演劇を「メタ演劇」などと言ったりします。演劇のことをメタ(上層)から、俯瞰して考えている、という意味で。
しかし演劇が問題にされ、演劇と現実がよく分からなくなってくるという限りで、上、という感じじゃない気がします。代わりになる良い言葉が思いつきませんが。

「そよ風ペダル」の公演は、前回もそうでしたが今回の作品はよりいっそう「劇中劇」の構造が強いものとなりそうです。
しかしこれが難しいんだ!
俳優は、どういうカラダで舞台に立てば良いのか、様々にその仕方を変えていかなければいけない。いろんな階層のカラダを使い分けなければならない。かなり高度なことが求められる…

私も参加させてもらいましたが、七転八倒右往左往、紆余曲折の悪戦苦闘。前途多難と思いながらも、同時にやりがいも感じたのでした。