ここまで完成している台本で。いったん通しました。まだ通して30分くらいですが。
改めて、これはかなり「分かりやすい演技」が求められる芝居だな、と思いました。
しかし「分かりやすい演技」とはどういうものか、ということについては大変分かりづらい。
例えば「怒」の演技は、怒鳴るような仕方で大きな声を出せば、だいたい分かってもらえます。それは「怒」という感情が十分に知れ渡っているからなのかもしれませんが、いずれにせよこういうのは、分かりやすい「分かりやすい演技」です。
ただし今回の芝居は、舞台上における人と人との関係だけではなく、次々と展開されるシーンとシーンとの関係が重要です。
シリアスなシーンを演じたかと思えば、次のシーンでそれを完全にひっくり返して笑いにする。といった様に、どんどん演技のモードが変わっていくのです。
俳優はこの場合、シーンを演じることに注力するのではなく、作品全体の中でこのシーンがどういう役割を果たしているのか、ということにも気を配らなければならない。
それゆえに、全体像を把握するための通しが大変重要になってきます。
なんとなく感じていたこの芝居の面白い点、難しい点が、色々見えてきた気がします。